お彼岸に…

3月21日(水)

墓地から帰り、休憩する間もなく息子一家が来た。
「仏壇、解体するで」
「えーっ、お彼岸にー?」
「さっさとせんと、いつまでも部屋を片付けんじゃろ」
ビシッと親を批判する息子がここにいる。
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この仏壇、120万円もしたのよね。
夫が、家族の反対を押し切って買い替えた。
父が亡くなった途端にお墓を作り直したり仏壇を買い替えたり。

それはあなたの見栄でしょう。
すべて父の供養のためなんて言うなら、一度でもいいから、父のいた施設を訪ねるくらいすればどうなの。

これを言えればどんなにかスッキリしただろうけど、言わなかったのは気弱な優しさ。
ただ、夫の親が施設に入っても絶対に面会になど行くものかと決心した。
のに、実際はフルタイムで働きながら遠くまで見舞いに通い、完全にバテて突発性難聴で入院したりした、馬鹿な自分。
ああ、思い出しても、馬鹿だと思う。
でも、そうしたかった自分を嫌いではないし、間違っていなかったとも思う。

夫は、父が収容された施設に一度も面会に行かなかった。
面会に行ってと、わたしも一度も言わなかった。
それは、夫は気が小さくて、施設とか病院とかを怖がっていたのを知っていたから。
でも、言わなくても、行くでしょう、普通。
義理なんだし。

あ、もしかして、わたしがお墓の引っ越ししたり仏壇を撤去したりするのって、夫がしたことの否定なのかな。
いや、それは違う。
わたしは心から感謝しているし、夫は周囲の誰もに期待されている善人だったのも知っている。
最後の日まで、わたしの名前を呼ぶ時、ちょっと恥ずかしそうに、ためらうようにしていたのも分かっている。

そう、お墓の引っ越しは息子夫婦や孫のため、仏壇の撤去は部屋を広くするため。

「ぐじゃぐじゃ考えよらんと、手伝ってよ」
息子は容赦なく仏壇を壊している。

仏壇をお寺さんに拝んでもらってから処分しないと、その家の一番大切な人に災いが降りかかるよと、抹香臭い友人が言う。
仏壇に、一体、どこにそんなパワーがあるの?
この仏壇、120万円もしたくせにボンドとホチキスの量産品ではないですか。
実態のない物で怖がらせて金儲けしたいのは、誰?
人間が作った物に手を合わせて、虚しくない?
この家はわたし一人、天罰を与えるなら、わたしに与えて早く死なせて。
明日からの検査で重い病気を宣告して。
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お経の本がいくつか出てきた。
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このお経は長々と全部読まされて、分かりやすかった。
うっかり読みふけって邪魔扱いされてしまった。
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結局、子守りを押しつけられ、息子夫婦が全部運び出してしまった。
雨だから人目もなく良かったのかもしれない。
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仏壇の奥から古い写真が出てきた。
「これ、母さんの両親じゃろ?」
そうよ、わたしは不倫の子、穢れた者のように後ろ指さされて生きる人間。

この写真は1963年。
遠くの大学病院。
白血病の看護。

この人は、わたしを、どう思っていたのだろう。
自分の子だと愛おしく思ったことはあるのだろうか。
自分は何者か、今になって混乱する。
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自分が汚くて惨めで悔しくて生きてきたけど、今は、不倫に走った母の気持ちがよく分かる。
そんな血が自分にも流れているのだろうか。
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