監査資料を作る

5月2日(水)

半日かかって会計監査資料を作った。
毎月きちんとしておけば面倒ではないかもしれないけど、毎月するのはストレスにもなる。
月別にざっくりまとめておくだけ。
画像

監査は20日だし、いつもの自分ならこんなに早く作ったりしない。
ギリギリで追い込まれた方が必死になるからはかどるし。
でも、今回は、監査だから監査だからと自分に言い聞かせ、集中力をかき集めて作った。

20日に行われる友人の召天記念セレモニーの案内葉書を受け取った。
その日には会計監査などの抜けられない行事があり、欠席のメールを送った。
戻ってきた返事の中に、慰めと戸惑いを感じた。
画像

監査だし、無理。
出席するなら土曜の夜行バスで名古屋、新幹線で、出席して夜行バスで名古屋からとんぼ返り。
月曜日に帰宅して、火曜日は遠くで会議、水曜日の夜の船で遠くに出かける予定。
無理無理、監査も日程を変えることは可能だけど、そこまでして、行くか自分。

大切な友人だった。
嫌な別れに追い込んだのは自分、和解して、許して、気持ちが通じて、また会いに行くからねと約束していた。
体調が回復すれば、会いに行くつもりだった。

娘から電話があった。
「結局、どうするん?」
「欠席連絡をしてはいるけど、本人の遺言だと…」
「遺言してまで知らせる人は他にはいないと思うよ」
「うん、そうみたい…」
「どちらを選んでも、気持ち次第だから、いいと思うよ」
「わたし…どうせ行くなら生きているうちに行くことに意味があると思う」
「会話が出来なくなってきた時、時間がないと言ってたもんね」
「何で、あの時に、行かなかったんだろう」
「それも含めて、出席すれば決着できるかも」
「そうだね、そうかもね」

「母さんにしては珍しい付き合い方していたよね」
「嫌なこともあったけどね」
「好かれるタイプの人ではなかったね」
「難しかったし」
「でも、母さんがものすごくつらい時期に支えてくれたね」
「うん、息子が大病したり、金銭トラブルで家出したり…」
「わたしが転勤して流産して不和になった時も…」
「息子が結婚して離婚して、夫が酒乱で破綻して…」
「弟、離婚して最初に逃げ込んだよね、あそこに…」
「ものすごくお世話になったね、長い間…」
「わたしも、お世話したよ、つらそうなときに」
「人生の最後の時間を、生きていてよかったと感謝していたね」
「それはいつも言ってくれていた」
「付き合うの、しんどくなかった?」
「しんどくなったから、嫌われて離れてもらおうと、いろいろ」
「それ、傷つけたね」
「信頼関係を損ねるようなことを、わたしがしたからね」
「母さんの、いつものパターンやね」

「最後の電話、あれ、いつだった?」
「えっと、わたしが里帰りしていたとき」
「そうだった?」
「父さんの納骨で、母さんは脚を折っていた」
「そうだった?」
「脚を上に上げて電話してたの、覚えているよ」
「…」
「電話、わたしが最初に受けたんだよね」
「あのころのこと、何も覚えていない」
「何年ぶりかの電話なのに昨日会った友人みたいに話せるって」
「だれが?」
「おじさんが、泣きながら、やっぱりモーちゃんはいい人だって」
「ああ、明日施設に入るって泣いていたね」
「お母さんは素晴らしい人だとよく言っていたよ」
「うん、分かっていた」
「不思議な関係だと思っていたよ、母さん」
「…行った方がいいかなぁ…」
「気持ちに決着をつけたいなら、行った方がいいよ」
画像


「でもね、行って帰ってから立て込んでいるのよね」
「監査と司会だけではなく?」
「うん、新居浜と大阪」
「あー、そんなに立て込んでいるんだ…」
「ここに影響させたくないのよね」
「そやね、とんぼ返りして、精神的にもダメージだろうし」
「行くなら生きているうちに、だから、生きている自分を優先したい」

「おじさんの兄弟たち、すごいよね」
「お姉さんには、会って、いきなり息子の学歴を聞かれたし」
「弟さんにはヘブライ語の議論で試されたね」
「東大出の兄と付き合っているから試したんだね」
「なじみの喫茶店で、皆がいるところでね」
「帰り際に、正確にはヘブライではなくアラム語だと言い返したよ」
「黙ったね」
「あんたなんかがわたしの相手をするのは百年早いって」
「おじさん、申し訳ないって謝っていたね」
「兄の学歴だけが彼らのプライドだから、ねじれているよ」

「母さんが、出席したとして…」
「うん?」
「妙齢の婦人が来たと好奇の目で見られるよ」
「わたしが、妙齢?」
「そこ、突っ込まない」
「はい」
「どういう関係だろうかと詮索されるよ」
「16歳も違うのに?」
「そんなん、関係ない」
「それって、嫌だね」
「おじさん、兄弟のこと奴らって言ってたね」
「うん、会わせたくないとも言ってたね」
「きっと、モーちゃん、来なくていいよって」
「…」
「もういいよって」
「そうかなぁ」

「遠いここから相当しんどい目をして行っても」
「相当しんどいよ、夜行バスでとんぼ返りだし」
「誰もねぎらってなんかくれないよ」
「そうだね、知らない人ばかりだし」
「違う違う、あそこの県、すごいよ」
「どんなん?」
「一言で言えば、人の心の機微に雑な土地柄」
「我々はウエットすぎるけどね」
「春日井から転勤して、近くなのに、この人たち何って傷ついた」
「今回の引っ越し前にも神経が雑だって言っていたね」
「打ちのめされるよ、彼らは否定するだろうけど」
「みんな自分のことは分からないものよ」
「しんみりとか、そんな感覚はないと思った方がいい」
「かなり傷ついたんだね」
「自分が入っていく立場で、相手はホームだから」
「うん」
「変わる必要はないから普通だと思っているけど」
「土地柄だから仕方がないでしょう」
「自分で勝手に傷ついているんだけど」
「いや、わたしも感じているから、分かるよ」

「おじさんの矜持を思うとあの土地はきつかったはず」
「すぐに東京に戻る予定だったけどバブルがはじけて」
「諦めて生きていたところに母さんと家族ができて」
「生きる希望が出来たって、感謝してくれていたよ」
「だから、召されたことだけを知らせたかったはず」
「そうかもしれないね」
「このスケジュールを押してまで、あんなとこに行かなくても」
「行くなって結論?」
「母さんは前向きに生きて、おじさんも喜ぶよ」
「多角的にまとめたね」
「スッキリした?」
「うん、納得した、妙齢だし」
「ははは!」
画像







ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック