簡素化という改革

3月9日(金)

近所の5軒は濃い付き合いをしている。
入院すれば、必ずお見舞いに押しかける。
死者が出れば、即、駆けつける。
お通夜葬儀は夫婦で、初彼岸、初盆もお参りに集まる。
この村でこんな付き合いをしているのは我々だけ。
ほんと、めんどくさい。

母が亡くなった我が家、初彼岸のお参りに来てくれることに決まっている。
これ、申し訳ないけど、ストレスになっている。
和気あいあいと仲良く来てくれるのなら問題ないけど、そうではないので困る。
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西隣の文子さん(80)は伸子さん(75)が夫の初盆に来てくれなかったと怒っている。
対する伸子さんは、文子さんの方が夫の初盆に来てくれていないのにと怒っている。
怒っている文子さんは昨秋伸子さんが膝の手術で入院したときにお見舞いに行かなかった。
病院に行くと亡くなった夫を思い出してつらいという理由だったが、そう言った翌日に母のお見舞いに来てくれた。
母の病院こそ文子さんの夫が亡くなった病院で、ここには来れるのになぜ自分のお見舞いに来れないのかと伸子さんは激怒。

伸子さんの高校の同級生だった弘子さん(75)が昨年末に交通事故で入院した時、文子さんは伸子さんの留守電に「弘子さんのお見舞いはいつ行きますか?」と入れた。
これを聴いた伸子さんは、自分のお見舞いには来ないでいて人のお見舞いを誘うなんて信じられないと怒り爆発、留守録は無視。
だけど、文子さんと伸子さんは、なぜか我が家に言うだけで直接対決をしてくれず、わたしはストレスがたまる。

礼子さん(69)は誰の悪口でも言いまくってきた人だが、伸子さんの実家はあばら屋だと嘘を言いふらし、ついでにわたしのことも不倫の子だと真実を言いふらし、激怒した伸子さんは長年仲良しだった礼子さんと決裂。
この度、礼子さんの夫が老人会内に彼女が出来、知らぬは妻ばかりなりの状況を伸子さんは面白がって言いふらしている。

自分的には礼子さんも伸子さんも同類で、数十年間、二人揃ってわたしに嫌がらせをしまくってきたことを忘れてはいない。
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さて、我が家に初彼岸のお参りに来る日を19日に決定したらしいが、伸子さんはゲートボールの試合のために来れない。
気分を害した伸子さんは、礼子さんにLINEを送った。
「19日に試合があることは一緒にゲートボールをしているご主人は知っているはず」
「うちは夫が何をしているかいちいち干渉しないし、わたしもボランティアで忙しいのです」
つまり、礼子さんは伸子さんのために日程変更は考えていないという意思表示。

これは当然だろうと思う。
伸子さんは、礼子さんが10年も前から自分の実家のことで嘘を言いふらしたり、つらい相談事をして泣いたりしたことをうざったいと言いふらされていたりの、そんなことが分かった途端に掌を返したように邪険にし始めているので、礼子さんにしてもその態度は何かとむかついているはず。

結局、伸子さんは前日の18日午後に我が家に一人で来ることになった。
負けたくないから前の日に来るという彼女らしい論理。
日曜の午後なんて、わたしには超迷惑。
わたしはスマホとガラケーと両方使っているが、彼女らとLINEでつながるなんて考えるだけで鬱陶しく、スマホは内緒にしてショートメールのみ教えている。
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「12日の老人会の集まりには一緒に行こうね」と伸子さん。
町内の老人会は市の補助を受けるために人集め中で、伸子さんは孤独なわたしを可哀想にと誘い、年間2000円くらいで断って角を立てるよりはと、名前だけの入会をした。
だが、わたしは人見知りの激しい人間嫌いで、新しい人間関係、というより、残り少ない人生、どうでもいい人と付き合うのは時間の無駄だと思うし、まして感覚の合わない人と今更友人などにはなりたくないし、嫌いな人などは論外。

わたしには無条件に好きだと言ってくれる友人が4人いる。
それぞれ遠くに住んでいるが、その人たちとの関係を大切に守っていきたい。
もう、だれかれ構わず付き合って傷つきたくない。
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それにしても、ややこしい関係の人たちがお彼岸に来るのはストレスになる。
この際、今後のために、この面倒くさい習慣をやめさせようと思った。

今まで付き合いをしてきた我が家から辞退を申し出るのは構わないだろう。
まず、最年長の文子さんに相談してみよう。
文子さんの同意が得られれば、あとは簡単になる。
千代美さんにもらったいちごを持って文子さん宅へ向かった。
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文子さんには3人の子供がいたが、長女は37歳のとき脳腫瘍で亡くなった。
10年間の不妊治療で授かったわずか1歳の男女の双子を入浴させ、そのまま自分は沈んでしまった。
独身だった長男は42歳の時に山中で自殺、父親の74歳の誕生日が息子の告別式になってしまった。
次女は、3年前の正月に夫を首つり自殺で失った。
うつ状態になった次女は実家の姓に戻り、姓の違う一人息子は遠くで就職している。
この次女は黙々と働き者だが、道ですれ違っても挨拶が出来ない。
文子さんは、家を継ぐ次女が近所付き合いをこなせるかどうか不安に思っていて、次女にわたしを「姉ちゃん」と呼ばせて託そうとしている。

文子さんは日当たりのいい玄関にふかふかの座布団を並べ、ストーブもつけて待っていてくれた。
すぐに栄養ドリンクを勧めてくれた。
「これから先、息子夫婦が転勤したりすると、付き合いが大変になるから…今回から辞退したいんです」
「そうよね、以前はお参りを済ませたらすぐに帰っていたのに、最近は長居して悪口ばかりになって、嫌でたまらないね」
「お盆やお彼岸は親戚とも行ったり来たりで忙しいし」
「そうそう、家族は疲れているし、やめるの言い出してくれてありがとう」
「ああ、よかった、分かってもらえて」
「でも、わたしのだけは受け取ってほしい、ずっとよくしてもらってきたから」
「ううん、それをしたら面倒になるから、お気持ちだけ、ありがとう」
「そう、それなら、またお盆の時に考えるね、ところでお墓の引っ越ししたんだね」
「お墓もいつかは世話が出来なくなるから…」
「あの、誰かが持ってきていた菊とか、あれ困ったじゃろ?」
「あ、知ってました?」
「生のお花は持ってきたら持って帰らんと迷惑よね、腐るし」
「夫の兄弟たちの気持ちも分かるけど…」
「わたしも、お墓の世話がしんどくて、近いけど行くのもしんどくて」
「無理せんと、長生きしてね」
「ありがとう、あと、私に何かあったときには…ね」
「うん、分かった、これ、いちご、もらいものだけど」
「じゃ、わたしもポンカン、かえっこしよう」
文子さんは深く頭を下げて見送ってくれた。
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弘子さん宅に行った。
ここは女の子二人で、長女は未婚のキャリアウーマン。
つい先日、次女一家が一人息子とともに養子縁組で戻ってきた。
伸子さんとは高校の同級生で、お人好しでちょっと鈍感な弘子さんがあまり波風なく暮らすのを伸子さんは悔しく思ってきつく当たってきた。
実際、深く考えないで何でもしゃべってしまうし、知りたがるしで、悪意はないけどめんどくさい。
文子さんが賛成と聞いて、弘子さんもすんなりと賛成。

礼子さんには電話をした。
礼子さんには姉がいたが29歳の時に胃がんで亡くなって、礼子さんは一人っ子に。
神経質な父とぼけっとしている養子の夫との間で苦労したが、気性が激しく口達者で誰にも負けない。
いきなり、礼子さんが言った。
「こんな付き合いしているのはここだけよ」
「そうらしいね、いいところもあるけど、ね」
「じゃ、これからはお彼岸はなしといことに決まったわけ?」
「ううん、うちが今回は辞退するということだけよ」
「そうよね、簡素化していかないとね」
「そうよね…」
「もしかして、伸子さんが日程合わないから気を遣ったのでは?」
「全然、伸子さんは前日に来てくれることになってるし」
「私ねー、伸子さんにえらい怒られたんよ、ゲートがあるって旦那は知っているでしょうって」
「あ、そうなん、そういえばゲートに入らないかって伸子さんに誘われたけど」
「それ、絶対にやめたほうがええよ、ゲートは勝ち負けがあるから怒鳴り散らされるよ」
「えー、そんなに恐いん?」
「口の立つ強い人(伸子)がいるからね、泣きながら出て行った人もいるよ」
「うわー、やめとこー、で、老人会の方は?」
「それも、若い人が入ったら即役目を押しつけられて逃げれんようになるよ」
「うっそー、それってストレスになりそう」
「あのねー、気の合った人と楽しく生きるのが一番いいよ」
「そうね、なんと言われても自分の人生だものね」
「他人の言うことなんか気にせずに、自分が楽しいことをしたらいいよ」
「うん、そうする」
「私なんか、口が立つように言われて悪口いっぱい言われてきたけど、泣いたけど」
「え?」
「負けたらいかんよ、また、お茶しよう」
「あ、ありがとう…落ち着いたら計画するからね」

礼子さんが妙に穏やかだったのは、先日あげたお菓子の効果かも。
敵に回すより味方にしておく方がストレス少ないし。
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伸子さんに電話をした。
伸子さんはきつい姑と小姑にいびられ、夫が弟の借金の連帯保証人になっていったために4億円の借金を背負わされた上に、夫は精神を病んで何度も鍬で殴りかかられたりした。
お彼岸の件、すんなりと賛成。
みんなと顔を合わせるのも嫌だったからよかったと言った。
「そうそう、老人会のこと、欠席するから」
「分かった、ねえ、フラダンス教えてくれない?」
「いいよお~」
ああ…面倒くさいことが増えてしまった、自分。



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この記事へのコメント

2018年03月14日 08:28
はの様、おはようございます。

私の田舎も同じです。
お茶飲みしながら、悪口言い放題。
決め事も、抜け駆けしたり、
仲間はずれにしたり、
意地悪ばあさんたちの天下でした。
ばあさま連中は、困るとすぐ利用します。
凄い悪知恵なので、泥沼に気を付けて!

お花たち、綺麗に咲き初めましたね。
黄色い水仙可愛いです
マグノリア?も開花したのですか?
はのはの
2018年03月14日 19:43
こんばんは、チャーミーさん

マグノリア(白木蓮)は昨日開花しました
画像を保存しているのですが、毎日毎日いろいろあるので、ブログにアップが追いついていません。
13日の記事になったら白木蓮を載せますね
ピンクのは「姫こぶし」です。

ほんと、凄い悪知恵で、きわどく泥沼がそこまで来ています。
一瞬でターゲットになってしまいますからドキドキです
こんなとこ、逃げ出したいです

いつもありがとう
紀の国屋
2018年03月14日 21:39
ただいま~、紀の国屋です^^♪

しばらくお暇を頂いている間に
はのはのさんが大変な事に
巻き込まれていたんですねー。

でも、賢明なはのはのさんですから
近所の皆さん全員が納得する方法を
すでに考えているのではないですか。

「人の不幸は蜜の味」なんて言葉を
耳にすることがありますけど、
人を見下げて優越感に浸るような
人間にはなりたくないですね。

あ、12月にじゃがいもを植えた
事を、決して私は笑ったりしては
いませんからね、笑

これからチャーミングさんの所に
ご挨拶に行ってきますが、また
こちらの軒先をお借りすることに
なると思いますので、どうか
よろしくお願いいたします。笑

はのはの
2018年03月14日 22:30
あ、お帰りなさーい、紀の国屋さん。
ご無事で何よりです(笑)

近所付き合いはなかなか手強いです。
わたしはお彼岸よりお盆を選びましたが、お彼岸かお盆か近い方を選べばよいという意見を無視したので、ちょっと風当たりです。
変動するより、お盆に統一した方が分かりやすいとは思うのですが、見下げてきたわたしの決めたことには従いたくないという優越感のようなものを感じます。
従いたくないなら好きにしてもらえばいいし、見下げるしか自信の持てない人間に見下げられても平気ですけどね。
というより、お盆も廃止しようかな(笑)

じゃがいも、芽が出てきました。
大豊作かも(笑)

今後とも、よろしくお願いします(笑)

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