ベニスの商人

2月21日(水) 晴れたり曇ったり

春が美しい朝。
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友人の荷物に詰められなかったみかんたちが残念そうに並んでいる。
気を遣わせないかと遠慮して、出したり入れたり。
迷って迷って残されてしまった君たち。
娘の夫のところに送ってあげるから待っていてね。
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お墓の引っ越しをお願いしている石材屋さんから電話があった。
「奥さん、墓石に彫る文言もうできてますかね」
「あ、忘れていました!」
「そろそろデザインしないといけないので」
「わかりました、すみません」

昨年秋に石材屋さんとの付き合いが始まった。
65歳だが社長の信頼が厚く、辞めさせてもらえないと笑う。
不健康そうな顔色で、手も震えがあって危なそうな感じがするが、外連味のない営業はとても好感が持てる。

「お墓のお仕事って、本当にいいお仕事をなさってますね」
「ありがとうございます。いいお墓が出来て落ち着かれたら我々も嬉しいです」
「お若い方もおられますね」
「ぼちぼちですが、なかなか続かんのですよ」
「地味かもですものね」
「いや、若いのが入ってくると山の仕事に連れて行くんですよ」

最近は故郷の地では墓地の管理が出来ないので、近くへお墓を引っ越しされる方が多くなっている。
踏み分け道の山を登り、お骨や、希望によっては重い墓石を背負って運んでくる。

「最初に、若いのに土葬を掘らせるんですよ。
骨を集めて洗って持って帰るんですがね、
こんなことできませんと泣いて嫌がりましてね、
その日に辞めていくんですよ」
「分かるような気がしますけど…」

いや、ほんとに分かる気がする。
何の因果でと思うか、その人の人生に思いを馳せながら心を込めて掘り出させていただくか、志のない若者には難しいだろう。
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「で、奥さん、墓誌と対に何か石版に書いておきますか?」
「好きな言葉はあるのですけど…」
「どんなんです、デザインさせますよ」
「ベニスの商人なんですけど…」
「何の商人ですか?」
「ベ・ニ・ス、です」
わたしは滑舌が悪いので、聞き取れなかったか、何と聞いたか微妙。
来年までに考えておくということになった。
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寄せ鍋を囲んで息子夫婦と相談した。
「○○家の墓」を彫り直して○○家以外のお骨を入れやすくするために違う文字を彫るようにしている。
そうしないと娘夫婦が入りにくいと言う。
「何の文字がいいかなぁ、和、平安、愛、仲良し、とか」
「その石版に彫るのは何から始まるん?」
「慈しみは…だけど」
「じゃぁ、「慈」にしたらどう、続きは石版で読んでねとか」
息子よ、これは論文じゃないのよ。
「おかあさん、「慈」は、この○○家にふさわしいと私は思います」
これで決着。
やっぱり年上だけあって発言に重みがある。
「で、石版の文章だけど、間違っていたら恥かくで、また」
「出典は書かないから分からないでしょうが」
「○ニスの商人と?」
息子、あんた、そんなこと言っている場合ではないでしょう。
頑張りなさい。

「愛」という概念は、まだ日本人にはこなれてない気がする。
エロスの愛は男女の愛。
フィリアは友愛、友人との信頼の心。
ストルゲーは肉親、親や兄弟姉妹への家族愛。
アガペーは、神の無限の無償の愛。

わたしは「愛」の代わりに「慈しみ」にしたい。
「慈しみ」にすべての愛を込めたい。
男女の愛、友人との信頼、家族への愛、神の無限の愛。

 慈しみは雨のように
 受けるものと与えるものと
 両方に
 二倍の祝福となって
 降り注ぐ

慈しみを人に与えれば、与えられた人も、与えた人も喜びに満たされる。
「受けるより与える方が幸いです」
わたしは、そう信じて生きていきたい。
家族にも、友人にも、無限に慈しみを与えたい。
そして、無限の慈しみを受けて喜びたい。
誰かが読んで、一人でもいい、共感してくれたら、あの世からわたしは喜ぶ。

問題は、もっと格調高い文章にしたいんだけど、ね。
また、恥かかないように。
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この記事へのコメント

紀の国屋
2018年02月21日 23:59
こんばんは。
奈良薬師寺の124代管主であった
高田好胤師が出された本の一冊に
『仏説父母恩重経』を分かり易く
解説したものがありますが、
そのお経の一部をご紹介します。
ご存じでしたら読み流してください。

「仁ありて殺さず、義ありて盗まず、
礼ありて淫せず、信ありて欺かず、
智ありて酔わざれば、則ち家門の内、
親は慈に、子は孝に、夫は正に、
妻は貞に、親族和睦して、婢僕忠順し、
六畜蟲魚(ろくちくちゅうぎょ)まで
普く恩沢を被りて、十方の諸仏、
天龍鬼神、有道の君、忠良の臣より、
庶民万姓に至るまで、敬愛せざるはなく、
暴悪の主も、佞嬖の輔(ねいへいのほ)も、
兇児妖婦(きょうじようふ)も、
千邪万怪(せんじゃばんかい)も、
之れを如何んともすること無けん。
是に於て父母、現には安穏に住し、
後には善処に生じ、仏を見、
法を聞いて、長く苦輪を脱せん、
かくの如くにして、始めて父母の
恩に報るものとなすなり」

「親は慈に、子は孝に、・・親族和睦し」

この言葉こそ、はのはのさんご一家の
今を表しているのではありませんか。

ー「慈愛」ー
この言葉は、私も好きです。
           合 掌
はのはの
2018年02月22日 19:15
こんばんは。
高田好胤師の説法は中学3年の時、修学旅行先で聞きました。
残念なことに詳細は覚えてないのですが、宗教に対する関心を強くかき立てられました。それと、語り口の巧みさに感動したことを覚えています。

お経の文言は強い言葉が並びますね。
こちらでは真言宗の葬儀では般若心経、光明真言、観音経は必ず唱えられますが、観音経を見るたびにサソリとかマムシとかが飛び出しそうで、お経の意味はよく分からなくてもそれらを打ち倒す力強いものを感じます。

「仏説父母恩重経」は、もちろん、知りませんでした。
寝起きにぎっしり詰まった漢字にクラクラし、30回は読み直して何とかスルッと飲めるようになりました。
やっぱり、普段から活字に親しむことは大切だと反省しました。
こんなに難しい文字を…読み方まで、ありがとうございます。
変換、大変だったでしょう。
未熟者の我々一家、お気持ちを大切に精進せねばと思いました。

空海は唐でネストリウス派キリスト教の影響を受けたと何かで読んだ記憶があり、何度か高野山に行ったとき資料を見てみました。限られた時間で知識のない者が見ただけでも、それらしく感じるものがありました。
「仏説父母恩重経」の、殺すな、盗むな、姦淫するな…と続く十戒によく似た書き出しを読んで、人の守るべきことは同じなのだと思いました。
そうですよね、人は互いを尊び、ゆるし合って愛し合って生きるのが幸せなのですから。

そういえば、高野山の406世の森管長は「あさつゆマルシェ」のすぐ近くのお生まれです。
直筆の何かを夫が持っていましたが、引っ越し荷物のどこにあるのか、勿体ないものをのぶそう(不作法)で困ったものです。

って、紀の国屋さんって何者?
もしかして、和尚さんですか??
ちょっと、近寄りがたいんですけど(汗)






2018年02月22日 20:15
こんばんは。
最初の花のお写真は椿ですか?
素敵な花びらですね。

実家のお墓は、裏山からお寺に
お引越しした時には、手の平ほどの、
お墓の土をお坊さんがお経を上げて、
半紙に包んで新しいお墓に入れました。
宗派や土地柄の違いでしょうね。

私の実家の方言は、語尾に「るん」
「たん」を付ける、るんたん言葉です。

今日のお二人のお話には、
浅学の私は入り込めません。

今日は、初コメありがとうございました
はのはの
2018年02月22日 20:45
こんばんは!

今日は2度もお邪魔してしまいました
これからもよろしくお願いします

椿です。
ちょっとクチャッとした花弁が初々しくて可愛いです。
松山も「食べるん?」「言うたん?」「来られん」のるんたんれん言葉です(笑)
どっちを向いてもゆるいです(笑)
遊びに来てください(笑)

紀の国屋さんって、お寺さんかも
お話、難しいです
ナビにキスするきもいおじさんかと思ってましたが…
紀の国屋
2018年02月23日 00:52
私がお坊さん?
いえいえ、全く畑違いです。

ここで、「なぞかけ」を

お坊さんと、掛けて
郵便受けの新聞、と説く、
そのこころは、

  けさきて きょうよむ 

私、、、、、落語家です。^^

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