ニワトリに出来るなら

1月12日(金)

トマト農家で育った。
主に母が一人でしていた。
ビニールハウスの中に土のベッドを作り、土の下には電熱線を埋めてあった。
雪の降るころ種を蒔き、菰で覆い発芽を待った。
ビニールハウスの北西側には藁で高い塀を作っていた。
それでも風の強い晩にはハウスが飛ばないように、母と二人でロープの締め直しをした。
澄み切った空の真上にオリオン座が美しかった。
「冬の星座」という歌を習ったときには、歌いながらロープを締めた。

1.木枯しとだえて さゆる空より
  地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
  ものみないこえる しじまの中に
  きらめき揺れつつ 星座はめぐる

2.ほのぼの明かりて 流るる銀河
  オリオン舞い立ち スバルはさざめく
  無窮をゆびさす 北斗の針と
  きらめき揺れつつ 星座はめぐる

苗が育つころはハウスの中は暖かく、土のベッドの横で編み物をした。
中学生のころにかぎ針で編んでいる白黒写真が残っている。
ハウスはトマトの匂いが満ちていた。
びっしりと生え揃った苗を移植するだけで手が真っ黒になった。

トマトの出荷はトマトの真ん中が薄くピンクに色づいた段階でもぎ取る。
夜なべ仕事で1個1個拭いて選別して木のトロ箱に並べ、夜の間に市場に持って行って並べる。
20歳で免許を取ったとき、最初に行ったのが夜の市場だった。
当時はミニトマトは見かけた記憶がない。
農薬を使うので、結婚を境にトマト農家から撤退した。

青いトマトばかり扱ったので、赤いトマトが食べられないで育った。
赤くなって柔らかくなり、トマトの匂いが強くなると食べられない。
薄ピンクくらいの青臭いガリガリしたトマトなら食べられる。
赤くて甘いトマトは気持ちが悪かった。

田植えのあと差し苗に田んぼを歩いていると、近所の親切な人がよくトマトをくれた。
大きくて真っ赤なトマトを2個ももらい、水田の中なので置く場所もなく困ってしまった。
水田を歩くとのどが渇くが、だからといってトマトは食べたくない。
近所の人は笑いながら見ているので、必死で食べた。
2個とも食べてしまうとうつむく差し苗はしんどかった。

家族は私以外はトマトが好きだった。
夫はかなり好きで真っ赤な大きなトマトを美味しそうに食べていた。
私がピンクしか食べられないので、形のいいピンクのトマトをバケツに入れてくれた。
最盛期には食べきれなくて毎日毎日ジュースにしたりパスタソースにして煮込んだ。
プチトマトのジュースを煮詰めて飲むようになって、私は赤いトマトを食べられるようになった。
トマトの甘さが美味しいと思うようになったが、買ってまでは食べない。

黄色のトマトが好きなのは、トマト臭さが少ないような気がするからだろうか。
昨年買った黄色のトマトはトマト臭さがほとんどなく、性質も丈夫だった。
弾力のある食感がトマト離れして美味しかった。
畑仕事をしながら食事代わりにたくさん食べた。
ただ、よく繁って結実も良いため肥料や水が切れるとムカゴのような変形果が多くなった。

息子のお嫁さんは一番のトマト好きで、年がら年中買うのには最初とても驚いた。
夏の野菜を冬に買うなんて、農薬まみれは平気なのか、都会の感覚はそんなのかと思った。
お嫁さんがあまりにもトマト好きなので夫は張り切ってトマトを作った。
1年だけだったが、生きていたら畑がトマトだらけになっていたかもしれない。


トマトを種から育ててみようか、この数日悶々と考えている。
あの電熱線を敷いた土のベッドと管理の大変なビニールハウスのイメージが強く、苗を作るのはものすごく難しい気がする。
発芽の段階からしてハードルが高そう。

悶々と考えながら歯科に行くと、待合に野菜の本があった。
ちょうど1年前に発行の本で、発売されたときにはまだ休院中で、私は読んでいなかった。
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トマトの種を懐で温めて発芽させる方法が載っていた。
雌鳥発芽というそうだ。
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鶏に出来るなら自分にもできるかも。
やってみようかなと気持ちが傾いた。
種を買ってこようと勇んでホームセンターに行った。
が、トマトの種は全然売ってなかった。
また、足を引っ張られたようで、天の声は無理無理に傾いた。
こんなことを繰り返して、結局、種まきするのかしないのか、自分。
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この記事へのコメント

紀の国屋
2018年01月14日 00:54
hanohanoさん、初めまして。
ヒゲおやじさんのブログでご一緒させて
いただいております「紀の国屋」です。
突然にお邪魔してすみません。
今日、初めてhanohanoさんのブログの
元旦から12日までの記事を拝見しました。

「白い鏡台」のお話には胸を打たれました。
女性としての身だしなみを最後まで貫かれた
写真のお母様は本当に綺麗です。
その娘さんであるhanahanaさんの生き方も
素晴らしいと思います。
記事を拝見した後、『果たして自分には
男として何があるんだろう』と考えさせられました。

それから、トマトに囲まれて育ったhanohanoさんに
トマトの種蒔きなどと生意気なことを書いて、
申し訳ありませんでした。

これからもお邪魔させていただきますので、
楽しい記事や写真を載せてくださいね。
宜しくお願いします。

hanohano
2018年01月14日 21:58
こんばんは、紀の国屋さん。
いつも的確に教えてくださりありがとうございます。
また、コメントありがとうございます。
大雑把な生活をしているのがバレバレで、恥ずかしいです。

おやじさまは以前の雑然ブログをご覧になったことがあり、トマトの種まきは荷が重すぎると見抜かれたご様子で、全力で引き止めてくださいました。
ほんと、とても感謝しています。
もう少し経験を積み、感覚を掴んでからトライしようと思います。
今後ともご指導よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
紀の国屋
2018年01月14日 23:33
hanahanaさん、ありがとうございます。
ヒゲおやじさんのブログでhanahanaさんが
「紀の国屋さんはこともなげにおっしゃいますが」と
あったのには思わず笑ってしまいました。
私も素人ですから、決して「こともなげに」って
訳ではありません。笑

二年前の秋にたまたま直売所で買ったミニトマトが
大変甘く美味しかったので、何個かを食べないで
種を採取し、昨年の2月中頃に家の中で発芽させて
その後、温床を作ってその中の熱で育苗しました。
100株程出来たので、親戚や友人にあげたりしました。

今年はすでにプチぷよの種を取り寄せてありますので
2月の半ば頃に種蒔きしようかなと考えています。
私も種から育てるのは面倒で嫌なのですが、
近くのお店には欲しい苗は販売されていないので
この方法をとっています。
でも、畑に行って何もすることが無い寒い時期に、
暖かい家の中でトマトの発芽~育苗が楽しめるので
これはこれで良しかな、とも思っています。

ありがとうございます。
こちらこそ、また色々教えてくださいね。

紀の国屋
2018年01月14日 23:35
↑すみません、hanohanoさんをhanahanaさんと
打ってしまいました、ごめんなさい。
hanohano
2018年01月15日 20:40
紀の国屋さん、こんばんは。
いつもありがとうございます。

昨年、冬ネギを夏に移植すると教えてくださったのは紀の国屋さんではなかったでしょうか?
いつも的確なアドバイスを拝見し、何もかも「こともなげに」涼しい顔でなさっているとばかり思っておりました(笑)
それにしても、皆さん、すごいなぁと感動しています。

直売所で買ったトマトの種でも同じ味のトマトが作れるのですね。
我が家の畑でも、前年の実が落ちて勝手に生えるのですが、美味しいトマトができています。同じ場所での連続になりますが丈夫に育っていました。
あまり神経質に考えなくてもいいのかもしれませんね。
黄色の、シュガーなんとかだったかスイートなんとかだったか、すごく甘いプチトマトが生えてきたときには嬉しかったです。
昨年は購入が遅れて「赤ちゃんのほっぺ」の黄色が2本残っていただけでしたが、とても美味しかったのでラッキーでした。

寒い季節に室内で苗が育つのを見ると癒やされますね。
昨年、特別な日にちなんで1月末にグリーンピースなどの種まきをしました。
一日に何度も見てはエネルギーをもらっていたのですが、あれよあれよという間に育って畑に出せない季節に大きくなってしまい、ツルが絡まり合ってしまったので1回カットして豆苗でいただき、また伸びた脇芽で立派に収穫を迎えました。
近所の畑ではとっくに収穫を終えてましたが、みずみずしいエンドウが食べられました。
育苗を楽しめ、実も美味しくてコスパよかったです(笑)

hanohanoって書きにくいでしょう(笑)
自分でも間違えますが、間違えても分かりにくいので助かってます。

ありがとうございました。
それでは、また。
紀の国屋
2018年01月16日 01:18
ありがとうございます。
私も、ヒゲおやじさんの記事と
みなさんのコメントを読ませて
いただいて勉強しております。

ネギを植え替えるというお話を
させていただいたのは私です。
今年は6月から母が入院しておりました
ので、植え替えも追肥もおろそかになり
今回の秋冬野菜はダメでした。
この春が待ち遠しいです。笑

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